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  3. HSPと発達神経症(発達障害)の症状は混在する?

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  • hspと脳科学

はじめに

HSPと発達神経症(発達障害)は全く異なるものです。
しかし、小さい頃はHSP(HSC)だったのに、大人になると発達障害的な症状がでてきたという方はいるのではないでしょうか?
トラウマによって発達障害のような症状が現れることがありますが、これは「発達性トラウマ障害(Developmental Trauma Disorder)」と呼ばれる概念で、医学的には発達障害とは異なります。
ただし、幼少期の慢性的なトラウマが脳の発達に影響を与え、結果としてASDやADHDに似た症状が出ることがあるため、混同されやすく、併発するケースもあります。

発達性トラウマ障害とは?

幼少期の虐待、ネグレクト、継続的ないじめ、養育者との繰り返される別れなどの慢性的なトラウマ体験(複雑性PTSD)によって、脳と心の発達に影響が生じる状態を発達性トラウマ障害といいます。
正式な診断名ではありませんが、ASDやADHDに似た症状を示すことがあるため、「第四の発達障害」と呼ばれることもあり、情緒・行動・対人関係・自己認識など広範な困難が現れます。

項目発達障害(ASD・ADHDなど)発達性トラウマ障害(DTD)
原因生まれつきの神経発達の違い幼少期の慢性的なトラウマ
診断医学的診断が可能現時点では診断名ではない
症状の安定性生涯にわたって持続する傾向発達段階によって変化する
社会性認知の偏りによる困難愛着の不安定さによる困難
感覚過敏神経系の特性によるトラウマによる過覚醒状態

脳への影響

一時的にASDやADHDに似た神経反応が起こることがありますが、これは可逆的な反応であり、構造的な発達障害とは異なり症状の軽減化は可能です。

扁桃体の過活動:恐怖・怒りなどの情動が過剰に反応しやすくなる。
前頭前野の機能低下:注意力・感情制御・判断力が乱れやすくなる。
海馬の萎縮:記憶の整理が困難になり、過去の記憶がフラッシュバックしやすい。
神経発達のベースが育たないまま成長することで、社会的・認知的な困難が生じる。

発達性トラウマ障害の回復法

発達性トラウマ障害(DTD)の回復には、「安全な環境」「身体と感情の統合」「自己理解と意味づけ」の3つの柱が重要です。
一度受けたトラウマは、無意識に不安を与えているため、不安を軽減していくようにすることで解消させていくことができます。
これは単なる症状の緩和ではなく、傷ついた発達の再構築と自己の回復を目指す深いプロセスです。

1. 安全な環境の確保

物理的・心理的な安心基地をつくることが最優先。
・信頼できる人間関係、予測可能な生活リズム、刺激の少ない空間が回復の土台になる。
・「安心して傷つけることがない」と感じられる場が、脳の防衛反応を緩める。

2. 身体と感情の統合

・トラウマは言語以前の身体記憶として残るため、身体からのアプローチが有効。
ヨガ・呼吸法・マインドフルネス・催眠療法有酸素運動など:自律神経を整え、安心感を育てる。

3. 自己理解と意味づけ

・トラウマ体験を語る・描く・書くことで、断片化された記憶を統合する。
・自己否定や空虚感に対して、「それは生き延びるための知恵だった」と再定義する。

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