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カラードノイズとは:音の色彩が心に触れるとき

私たちの暮らす世界は、音に満ちています。
風のざわめき、雨のしずく、木々のささやき、都市の喧騒。
これらの音は、単なる振動ではなく、私たちの心と身体に深く作用する情報であるといえます。
とりわけ「ノイズ」と呼ばれる音の中には、特定の周波数特性を持ち、色彩を帯びたように分類されるものがあります。
それが「カラードノイズ(Colored Noise)」です。

カラードノイズとは、周波数スペクトルの分布に応じて「色」で表現される人工的または自然由来の雑音のことを指します。ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズなどが代表的で、それぞれが異なる心理的・生理的効果を持っており、音響工学、神経科学、心理療法、瞑想、睡眠改善など、さまざまな分野で応用されています。

スペクトルの科学:色の違いは周波数分布の違い

音は周波数(Hz)によって構成されています。
カラードノイズは、その周波数成分の分布に応じて分類されています。
以下に代表的なノイズの種類とそのパワースペクトル特性をまとめました。

ノイズの色周波数傾斜聴覚的特徴心理的効果
ブラウンノイズ−6 dB/octゴーという低音中心安心感、深い集中滝、雷鳴
ピンクノイズ−3 dB/octザーという柔らかい音リラックス、睡眠導入雨音、風の音
ホワイトノイズ±0 dB/octシャーという均一な音雑音マスキング、集中テレビの砂嵐、扇風機
ブルーノイズ+3 dB/octチーという高音中心覚醒、刺激科学実験用
パープルノイズ+6 dB/oct超高周波成分特殊用途音響測定
グレーノイズ調整済み聴覚的に均等ミソフォニア対策医療用ノイズ

パワースペクトルについては「1/fゆらぎ」のページを参考にして下さい。

このように、ノイズの「色」は、音のエネルギーがどの周波数帯に多く含まれているかによって決まります。ホワイトノイズは全帯域に均等なエネルギーを持ち、ピンクノイズは低音にやや偏り、ブラウンノイズはさらに低音に集中しています。

脳とノイズ:神経科学的視点からの理解

脳は常に外界の刺激を処理しています。音はその中でも特に強力な情報源であり、脳波や自律神経に影響を与えることが知られています。カラードノイズは、脳の活動状態に応じて異なる効果をもたらします。

ホワイトノイズは、外部の雑音をマスキングし、注意を一点に集中させる働きがあります。
ADHDの補助療法にも使われています。
ピンクノイズは、睡眠中の脳波(徐波)を安定させ、記憶の定着を促すとされています。
ブラウンノイズは、深い瞑想状態や副交感神経の活性化に寄与し、安心感を与える音として知られています。

これらの効果は、音が脳幹や視床下部を経由して、自律神経系やホルモン分泌に影響を与えることによって生じています。とりわけ、ピンクノイズやブラウンノイズは、自然界の音に近いため、進化的に「安全な環境」として認識されやすいと考えられています。

カラードノイズサンプル音声~せせらぎ音入りカラードノイズ~

以下ではせせらぎの音をミックスしたカラードノイズのサンプル音声動画を紹介します。

せせらぎ音入りホワイトノイズ

せせらぎ音入りピンクノイズ

せせらぎ音入りピンクノイズ

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